斜視
斜視の治療
斜視の治療は大きく分けると、「手術による方法」と「それ以外の方法」とがあります。
どの方法が良いかは、斜視のタイプ・性質・年齢・全身状態などにより異なります。
眼位ズレや外眼筋の働き、屈折検査、両眼視機能などを詳しく、きっちり調べた上で、どの方法が適切化を判断します。
斜視は、単に眼の位置がずれているという外見上の問題ばかりではありません。
特に幼少期の斜視は両眼視機能(ものを両眼で立体的に見る力)の発達に影響します。
5~6歳ごろまでに両眼視機能の発達が完成するので、早期の治療が大切になります。
一方、学童期以降~成人の斜視は、外見上の問題以外にも、眼位ズレによる眼の疲れや複視の症状軽減のための治療になります。
手術による方法
成人の場合、局所麻酔で日帰り手術ができます。 乳幼児や学童期以下の場合は、全身麻酔で手術をおこないます。
目を動かす筋肉(外眼筋)の付いている位置を手術でずらすことで、眼の位置を改善します。
もし、目が外に向いているのなら「外直筋を後ろにずらす」、もしくは「内直筋を前にずらす」ことで、斜視を改善できます。
後ろにずらす場合には「筋肉のついている部分を一度切り離して眼球の後ろの方に縫い付け」します。
前にずらす場合は「前の方に縫い付け直し余分なところを切除」します。
成人の方、中学生・高校生の方なら局所麻酔で通院での手術が可能です。
※乳幼児や小学生の場合は全身麻酔が必要です。もし全身麻酔での手術が必要となる場合、入院および全身麻酔が可能な施設をご紹介いたします。
手術時間は1つの筋肉について20~30分程度です。
片眼だけ1つか2つの筋肉を手術することが多いですが、斜視のタイプやズレ角度の大きさによって、両眼の手術をする場合もあります。
通院は手術前に初診時(手術申込み・手術日決定)、術前検査日を含めて2回、
手術日、手術後は翌日および約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後に受診していただきます。
通常の場合は、手術翌日から入浴・洗顔等も可能ですが、術後はしばらく目が赤くなります。
手術後2~3週間程度で徐々に消退し、1ヵ月後には充血もほとんど目立たなくなります。
- コンタクトレンズ、メガネを使う方法
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コンタクトレンズやメガネを装用することで、斜視の原因となっている遠視や近視を矯正し、両眼で正常に見えるようにして両眼視をさせます。
遠視が原因となる調節性内斜視、左右の度数の違いによる屈折性不同視が原因となる斜視などのタイプではこの方法が有効です。
- 遮閉法
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眼帯、アイバッチ、磨りガラスなどを使い、不同視のある弱視、斜視に行なう方法です。
斜視眼でない方の眼を遮閉し、斜視眼にその目の矯正度数のメガネ等を装用させ、物を見る力をつけさせます。
- プリズム処方
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メガネにプリズムを入れて光を屈折させ、斜視眼を正常眼と同じ視標が見えるようにする方法。
斜視自体が治るわけではありませんが、プリズム眼鏡の装用により、両眼視機能を確保しやすい状況を作ります。
- 両眼視機能訓練
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大型弱視鏡、カイロスコープなどを用いて両眼視機能を向上させます。
- ボツリヌス療法
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引っぱりすぎている筋肉をボツリヌストキシンで麻痺させることで眼位を矯正する方法。
数ヶ月で効果が減弱するので、数ヶ月毎に繰り返し治療をおこなう必要があります。