子供が近視といわれたら
目を使いすぎると近視になるの?
近視の原因についてはよく分かっていませんが、遺伝因子と環境因子が複雑にからんで起こると考えられています。
そのため同じように近くを見る作業に熱中しても、近視になる子とならない子がいるわけで、
目を使いすぎると必ずしも近視になるとは限りません。
そうはいうものの、ネパールで、地方の学校と都会の学校で近視の頻度を比較したところ、
近くを見ることの多い都会の学校の子どもに、近視が明らかに多いという報告もされています。
近くを見ることが多いという環境因子は、やはり近視の発生や進行に重要な役割を果たしていると思われます。
近視の治療法
メガネやコンタクトレンズの使用は?
近視の治療は、ピントが合わない分をメガネのレンズやコンタクトレンズで矯正することが一般的です。
近視は凹レンズで矯正します。
近視になりかけの偽近視の時期に点眼薬を用いる治療法がありますが、視力がもとに戻る例はそんなに多くありません。
メガネははじめのうち不自由さを感じることはありますが、いたずらにメガネをかける時期を延ばすと、
眼精疲労のもとになったり、いろいろな症状を引き起こしたりすることがあり感心できません。
近視は手術で治るの?
近視の手術的矯正法として、角膜周辺部分を放射状に切開する「放射状角膜切開術」や、
エキシマレーザーを用いて角膜の中心部分を削るレーシック(LASIK)などがあります。
しかし、強い近視では効果が弱く、また、安定した視力予後が得られない場合や、角膜の濁りや眼底出血などの後遺症が残る場合もあります。
治療を受ける場合には、十分説明を聞き、納得してから受けるようにしましょう。
また強い近視の人では、目の長さである眼軸の延長にともなって、網膜剥離や眼底出血を起こすことがあり、
その場合には早急に治療する必要があります。
近視矯正手術はあくまで角膜に操作を加えて、見かけ上の屈折異常を是正しているだけですから、近視の原因である眼軸の延長は、
手術と無関係に進行する場合が多く、手術を受けても眼底出血などの合併病変を起こすリスクは変わりません。
目に負担をかけない生活とは
最近の子どもは勉強、読書、テレビ、パソコン、コンピュータゲームなど近くを見る作業が多い生活を送っています。
近視の発症や進行を予防するためには、目に負担のかからない生活をすることが大切です。
- 正しい姿勢で読書や勉強をするようにしましょう。
背中をまっすぐに伸ばし、目と本の距離を30センチくらい離しましょう。
- 1時間くらい勉強をしたら、10分間くらい目を休ませましょう。
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コンピュータゲームなどは特に目に負担をかけやすいので、40分以上は続けないようにしましょう。
寝転んだり、悪い姿勢で本を読んだりすることはやめるべきです。
- 部屋の照明は明るすぎたり暗すぎたりしないように気をつけましょう。
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通常、勉強や読書をするのには300ルクス必要です。
これは蛍光灯のスタンドでいうと、15~20ワットに相当します。
メガネとコンタクトレンズ
近視がどれくらい進んだらメガネが必要?
近視では近くは見えますので、日常生活に不自由がなければ、すぐにメガネをかけなくてもかまいません。
ただし、黒板の字が見づらいと勉強にさしつかえるので、席が教室の後ろでも黒板の字が見えるよう、
視力が0.7 以下になったらメガネを用意しておいた方がよいでしょう。
ただこれは、学年や地域によってもちがいます。
大きな字を見ることが多い小学校低学年では、もう少し視力が下がってからでもよいかもしれません。
メガネをかけたりはずしたりしていいの?
近視が軽ければ、遠くを見るときだけメガネをかければよいのです。
近視が進むと、近くを見るのにもメガネがあった方が便利なので、子どもの必要にまかせて判断してください。
メガネをかけたりはずしたりしても、近視の度が進むようなことはありません。
また近視が進んだら、授業で黒板を見る用の少し度数が強めのメガネと、
家庭用の弱めのメガネを使い分けると、眼精疲労が少なく装用感もよいと思います。
コンタクトレンズは何歳くらいから使えるの?
コンタクトレンズは角膜の表面に直接のせて用いるレンズで、素材によりハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズなどがあります。
美容上の問題などからメガネをかけたくない人に好まれています。
また、非常に強い近視や、左右の視力に差がありすぎるなどの理由で、メガネではよく見えない人には医学上有用です。
しかし、慣れるまでに時間がかかったり、角膜を傷つけてしまったりという問題点があります。
レンズの取り扱いや管理が大変であること、角膜を傷つけたりする問題があることなどを考えると、
やはり小学生の間はメガネをかけるようにおすすめします。