三重県津市羽所町399
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ボツリヌス注射について
1.作用について
- この薬は、ボツリヌス菌という細菌が作り出すA型ボツリヌス毒素の作用を利用します。
- 一般にボツリヌス菌は食中毒の原因として知られています。食中毒では、菌が食べ物とともに体に入り、毒素が作られ、腸から大量に吸収された場合、全身の筋肉が麻痺する中毒症状を起こします。
- しかしながら、いろいろな研究の結果、この毒素を少量だけ痙攣している筋肉に直接注射した場合、その筋肉がゆるみ、痙攣がおさまることがわかり、医療品として利用されるようになりました。
- この薬1回の注射で効果は1〜2週間であらわれ痙攣の症状を軽くし、通常3〜4ヶ月持続します。効果がなくなると再び痙攣の症状が起こってくるので、この薬は繰り返し投与する必要があります。
- この薬を長期間、繰り返し注射した場合、この薬の作用が体の免疫反応によって中和され、効果がうすれてくることもあります。
2.注射を受ける前に確かめて下さい。以下に当てはまる患者さんは必ず医師に申し出て下さい。
- 全身性の筋肉の脱力などの病気(例えば、重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)がありませんか?
この薬は筋肉の緊張をゆるめる働きがあり、全身性の筋肉の病気を悪くすることがありますので使用できません。
- この薬に対するアレルギー又は、他の薬や食物に対するアレルギーはありませんか?
- 眼の周囲に注射する前に視力検査は受けましたか?
外国の「眼瞼痙攣」の患者さんで、この薬による治療中に、関連性ははっきりしませんが、眼の神経が萎縮し、視力が低下したとの報告がありました。注射を受けるときには、視力検査を受けることが望まれております。
- 妊娠又は、妊娠している可能性はありませんか?
外国において、あなたとは異なる病気の患者さんに、この薬をあなたに使用される10数倍の量を注射し、流産したとの報告がありますので、使用できません。
- 授乳中ではありませんか?
母乳への移行については不明ですので、使用できません。
- 最近、次のような注射を受けたり、薬を飲んことはありませんか?
抗菌剤(抗生物質など細菌の発育を抑えたり、殺す作用のある薬)、パーキンソン病の治療薬、精神安定剤
- 15歳未満の「眼瞼痙攣」「片側顔面痙攣」の小児への使用経験はありません。
3.注射を受けた後に注意して下さい。
- この薬の注射後、アナフィラキシー反応など重大な副作用に対応できるように、主治医の指示に従って下さい。
- この薬の効果が持続する3〜4ヶ月は副作用の発現に注意をして下さい。
- この薬の投与を受けてから3〜4ヶ月の間に筋肉の緊張をゆるめる他の薬や抗菌剤(抗生物質など細菌の発育を抑えたり、殺す作用のある薬)、パーキンソン病の治療薬、精神安定剤を飲み始める場合は、この薬や他の薬の作用を強めることがありますので、この薬の治療を受けていることを必ず医師に申し出て下さい。
- これまで活発に体を動かしていなかった場合には、この薬を注射した後、数日間は激しい運動や仕事を避けて下さい。活動は徐々に再開して下さい。
- 男性の場合には精子に対する安全性が確認されていませんので、少なくとも3ヶ月は避妊をして下さい。
4.副作用について
- 皮膚に発疹があらわれるなどの副作用が起こることがあります。これはアナフィラキシー反応による可能性がありますので、すぐに医師に申し出て下さい。次回投与を決定する上で大切なため必ず申し出て下さい。
- 眼の周囲に注射後、まぶたが閉じにくくなる、目が乾いたように感じられるなどの副作用が起こることがあります。薬が効きすぎた場合に起き、数週間でほとんど回復しますが、放置しますと角膜に障害がでることがありますので、すぐに医師に申し出て下さい。簡単な点眼剤で防止できます。次回の投与量を決める上で大切なため必ず申し出て下さい。
- 物が二重に見える、視力が低下するなどの副作用が起こることがあります。薬が効きすぎた場合に起き、数週間で殆ど回復します。眼科的検査が必要な場合がありますので、すぐに医師に申し出て下さい。次回の投与量を決める上で大切なため必ず申し出て下さい。
このほか、なにか具合が悪くなった場合や心配なことが合った場合は、すぐに医師に申し出て下さい。
なお、国内では、あなたと同じ病気の患者さん 4,000人以上に、この薬が使用され、重い副作用は報告されておりませんが(平成11年12月時点)、外国において、他の病気でこの薬を使用中に心筋梗塞などで死亡したとの報告があります。どの報告もこの薬との関連性ははっきりしておりませんが、注射した場所が違っており、薬の量も数倍以上使われている治療法の場合に起きています。
5. 他の治療方法について
現在「眼瞼痙攣」「片側顔面痙攣」に行われる治療には、この薬を注射する方法のほかに、内服薬を飲む治療、手術による治療があります。
あなたに最も良いと考えられる方法で治療を続けます。わからないことや心配なことは、いつでも相談して下さい。
6.最寄の医師に関する情報
ボツリヌスによる注射治療は当院でも施行していますが、実施できる病院は限られています。最寄の医師に関する情報は、眼瞼痙攣情報センターで確認して下さい。